看護師がホスピス分野へ転職を決断する

看護師がホスピス分野への転職を考える理由は人それぞれです。この記事では、転職を検討する際の自己分析の方法、訪問看護型と住宅型ホスピスの違いから自分に合った職場を選ぶ考え方、そして転職活動の具体的なステップをまとめました。

ホスピス分野への転職を決断する際の自己分析と職場選択の考え方を整理できます転職活動の具体的なステップと、転職エージェントの活用法をガイドしています
転職エージェントを見る

みとりのしごとは、看取り・ホスピス関連の職場を探す看護師・介護士向けの拠点情報サイトです。当サイトは給与・ボーナス・福利厚生などの待遇詳細を把握していません。待遇条件は、採用企業の公式サイトか転職エージェントに直接確認してください。

なぜ、ホスピス分野への転職を考えるのか

看護師がホスピス分野への転職を検討する背景は多様です。以下のような理由が考えられます。

  • 患者さんとの関係を深く構築したい。 病院では短期間の治療が中心ですが、ホスピスでは患者さんの最期まで継続的に関わることができます
  • 生活リズムを重視した働き方を求めている。 ホスピス住宅では病院より夜勤の頻度が少ないことが多く、プライベートとの両立が可能な場合があります
  • 精神的なやりがいを求めている。 患者さんや家族からの感謝、人生の最期に寄り添える意味深い経験を求めて
  • キャリアの転換を考えている。 医療行為中心から患者さんの「生きること」全体を支援する働き方へのシフト
  • 勤務地の希望を優先したい。 ホスピス住宅は地域に拠点を持つため、特定の地域に根を下ろして働きたいという希望を実現できる

まずは、自分がなぜホスピス分野への転職を考えるのか、その理由を明確にすることが大切です。これが転職後の満足度を大きく左右します。

訪問看護型とホスピス住宅型、どちらが自分に合うか

ホスピス分野での仕事は、大きく2つの形態に分かれます。どちらが自分のキャリアや生活に合っているかを考えることが、転職成功の第一歩です。

ホスピス住宅型(短期の集約的な対応)

患者さんが施設に入居し、数日から数週間の期間で見取りを迎えるモデルです。

  • 特徴: 同じスタッフが継続的に患者さんに関わるため、人間関係を深く構築できる。患者さんの急変への対応や、家族のサポートも施設内で行える
  • こんな人に向いている: 1人の患者さんとの関わりを深めたい、集中的に意味深い経験を積みたい、緊急対応への判断力を磨きたいという看護師
  • 確認すべき点: 短期間での患者さんの急激な状態変化への心理的負荷。チーム内でのサポート体制が充実しているか。医心館など短期集約型と、長期対応型で事業の特性が異なるため、事業者ごとの確認が必要

訪問看護型(複数患者さんへの継続的な対応)

患者さんの自宅や施設を訪問し、継続的に医療ケアと生活支援を行うモデルです。

  • 特徴: 複数の患者さんを担当するため、異なるケースから多くを学べる。患者さんが慣れた環境での見取りを支援でき、患者さんのペースに合わせた柔軟な対応が可能
  • こんな人に向いている: 様々な患者さんの背景を理解したい、移動の中での業務判断力を高めたい、患者さんの「生きる時間」全体を支援したいという看護師
  • 確認すべき点: 移動負荷(特に地方勤務の場合)。複数患者さんの並行管理の心理的負荷。事業所によって24時間対応の体制や呼び出し頻度が異なるため、確認が必須

この2つの形態を比較したい場合は、以下の記事も参考になります。

転職活動の進め方

ホスピス分野への転職を決めたら、以下のステップで進めることをお勧めします。

ステップ1:自己分析と条件の整理

まずは、自分が求める条件を明確にしましょう。

  • なぜホスピス分野への転職を考えるのか(前述の「理由」を参考に)
  • 訪問看護型とホスピス住宅型のどちらが、自分の人生設計に合っているか
  • 給与・夜勤・休日・勤務地などの条件で、譲れない項目と妥協できる項目
  • 患者層(末期がん中心、神経難病、一般型など)で、特に関心がある対象
  • 5年後・10年後のキャリアイメージ

ステップ2:事業者と拠点の情報収集

このサイトに掲載されている事業者は、対応する患者層と事業モデルが異なります。事業者ごとの採用状況や拠点の所在地を確認してから、転職活動に進むことをお勧めします。現在、10社・全国427拠点の情報を掲載しています。

  • 医心館128拠点
    株式会社アンビスホールディングス(7325)

    末期がん患者を中心に受け入れる「住宅型ホスピス」を全国展開。同一建物内への訪問看護が収益の柱で、入居期間の中央値は26日と短期の看取り需要が中心です。

    展開エリア 33都道府県 / IR掲載情報3件
  • 日本ホスピスホールディングス株式会社(7061)

    神経難病やがんに特化したホスピス住宅を運営し、訪問看護ステーション・訪問介護事業所を全国に展開しています。

    展開エリア 7都道府県 / IR掲載情報なし
  • ReHOPE67拠点
    株式会社シーユーシー・ホスピス(CUCグループ)(9158)

    訪問看護を軸にしたホスピス型住宅ブランド。同じCUCグループには居宅(自宅)向け訪問看護事業もあり、決算資料ではセグメントごとに採用・離職率が細かく開示されています。

    展開エリア 21都道府県 / IR掲載情報2件
  • PDハウス56拠点
    株式会社サンウェルズ(9229)

    住宅型有料老人ホームとして全国展開するホスピス住宅ブランド。2026年6月の包括型訪問看護制度改定の影響を受け、事業計画を見直している最中です。

    展開エリア 19都道府県 / IR掲載情報2件
  • 株式会社リベルケア未掲載

    末期がん・人工呼吸器装着者・ALSやパーキンソン病関連疾患などの特定疾患を対象に、24時間365日看護師が常駐するホスピス住宅を展開しています。長谷川トラストグループの一員です。2025年9月には、同業のフレアス(訪問看護・マッサージ事業の上場企業)が営業赤字を理由に撤退したホスピス住宅事業(開設済み11棟)を譲り受けた経緯があります。

    展開エリア 12都道府県 / IR掲載情報なし
  • 株式会社at未掲載

    末期がん・難病等で医療ケアが必要な方を対象に、24時間365日看護師が常駐する全室個室のホスピス住宅を展開しています。訪問看護「アットリハ」など他の医療福祉事業も運営する会社の一事業ブランドです。

    展開エリア 6都道府県 / IR掲載情報なし
  • 株式会社ニューパートナーズホールディングス未掲載

    大阪・神奈川を中心に展開するホスピス特化型の住宅型有料老人ホームブランドです。

    展開エリア 2都道府県 / IR掲載情報なし
  • 株式会社レガート/株式会社グランドライフ未掲載

    大阪を中心に展開する、パーキンソン病・末期がん等の難病に特化したホスピス住宅グループです。2011年設立。

    展開エリア 2都道府県 / IR掲載情報なし
  • opsol株式会社未掲載

    大阪・愛知で展開する、がん末期やパーキンソン病等の難病に特化したホスピス住宅ブランドです。2015年から展開しています。

    展開エリア 2都道府県 / IR掲載情報なし
  • 株式会社ツクイ(2398)

    東証プライム上場の株式会社ツクイが展開するホスピス特化型の住宅ブランドです。2026年時点で稼働拠点は5件と、他社に比べて展開の初期段階にあります。

    展開エリア 5都道府県 / IR掲載情報なし

各社の患者層・展開エリア・拠点一覧は、事業者一覧で比較できます。気になる事業者は個別ページで拠点の所在地を確認してください。

ステップ3:転職エージェントへの登録と相談

事業者の情報を集めたら、転職エージェントに登録して、専門家のサポートを受けることをお勧めします。エージェントは以下のような支援ができます。

  • 給与・待遇交渉の支援
  • 非公開求人の紹介
  • 応募書類作成や面接対策のアドバイス
  • 事業者の内部情報(職場の雰囲気、実際の待遇、離職率など)を提供
  • 複数の事業者との比較検討を効率的に行う手助け

複数のエージェントに登録し、それぞれの情報を比較検討することが、より良い職場選択につながります。

ステップ4:職場見学と面接

応募を検討する前に、必ず職場見学を申し込むことをお勧めします。実際の職場の雰囲気、スタッフの年齢層や勤続年数、患者さんとの関わりの様子など、公式情報からは分からない重要な情報が得られます。

面接では、以下の点を確認してください。

  • ホスピス分野への転職理由と、その事業者を選んだ理由を、自分の言葉で伝える
  • 給与・夜勤・研修制度など、事業者へ直接確認すべき項目を聞く(エージェント経由でも可)
  • 新入職者のサポート体制と研修期間を確認する
  • 実際の患者さんの状態や、チームの課題などを聞き、自分の適性を判断する

「職場見学での確認ポイント」については、夜勤・シフト・待遇を確認する方法の記事に詳しい質問テンプレートがあります。参考にしてください。

ステップ5:応募と入職決定

複数の選択肢を比較検討した上で、最も自分の条件に合った職場への応募を決めます。エージェント経由の応募と事業者公式サイトでの応募では、条件が異なる場合があるため、必ず確認してから応募してください。

内定が決まったら、入職前に以下の点を確認してください。

  • 研修内容と期間(未経験から経験者まで、研修内容は事業所により異なる)
  • 初期配置先と初期対応予定(最初はどの患者さんを担当するか、など)
  • スタッフ体制と先輩看護師の配置(同行指導をしてくれる人が決まっているか)
  • 入職予定日と初出勤の手続き

まとめ:ホスピス分野への転職は「自分の価値観の確認」から始まる

ホスピス分野への転職を決断することは、単なる職場変更ではなく、人生の中での「働き方」と「人生観」を再考する機会になります。

患者さんの最期を支える仕事は、身体的・心理的な負荷が高い職場です。その中で、この仕事にどのような意味を見出すのか、5年後・10年後のキャリアイメージはどうなのかを、事前に十分考えておくことが、長く続く仕事の満足度につながります。

転職活動を通じて、事業者の情報を集め、実際の職場を見学し、スタッフと会話する中で、自分の適性と職場のマッチングを判断してください。急いで決めるのではなく、時間をかけて丁寧に検討することをお勧めします。